目次
踏み上げ相場とは?
踏み上げ相場とは、上昇トレンドとなって、空売りポジションの損切りによる買い戻し(ショートカバー)が入って、さらに上昇していく相場のことです。
ヘッジファンドや個人投資家が空売りをすると、決済する際には、反対売買の買い戻しをする必要があります。
また、制度信用取引では、返済期限が6ヶ月までとなっているため、空売りポジションは、最長でも6ヶ月以内に買い戻す必要があります。
空売り(信用売り)は、上昇すると損失となるため、空売りの損切りによる買い(ショートカバー)が入ると、さらに上昇することになり、相場用語で「踏み上げ」と呼ばれます。
2024年の踏み上げ相場
2024年は、新NISAが始まった2024年1~3月、暴落からの反発となった2024年8月が踏み上げ相場となりました。
2024年1~3月:新NISA相場
2024年1月から3月に掛けては、日本株は新NISA効果も追い風に、踏み上げ相場となりました。

この時期には、AIバブルを背景にした半導体株などの上昇が顕著となり、これらの急騰銘柄を空売りした場合には、大きく踏み上げられる展開となりました。
政府クラウド銘柄として注目された【3778】さくらインターネットは、異次元の急騰となった銘柄です。

踏み上げ相場も終盤となった2024年3月過ぎからは空売りが有効でしたが、それまでは踏み上げ相場となっており、逆張りで空売りしていたら、早めに損切りしなければ退場となっていました。
2024年8月:暴落からの反発
日経平均株価は、2024年7月には再び4万円を突破した後に、米国市場の軟調と日銀利上げが加わったことで、大暴落となりましたが、その後は大反発となりました。

2024年7月中旬から8月初旬に掛けては空売りが有効となり、特に【6920】レーザーテックのような半導体株など、すでに大きく売られている銘柄への、順張りの空売りが効果的でした。

ただ、8月の暴落以降は大反発となったため、安値圏で空売りした場合には、踏み上げ相場となっていました。
踏み上げ相場の注意点と対策
踏み上げ相場の注意点と対策について見ていきましょう。
急騰銘柄の空売りは非常に危険
2024年3月までの【3778】さくらインターネットのように、急騰銘柄への空売りは踏み上げ相場では非常にリスクがあります。
急騰銘柄は、その反動で大きく反落するタイミングがどこかで来る確率が高いため、高値圏で逆張りの空売りを仕掛けると、大きな利益も期待できます。
現に、【3778】さくらインターネットも、急騰後の2024年3月以降は急落したため、高値圏で空売りを仕掛けていれば、大きな利益となっていました。
しかし、空売りは損失額が理論上無限であるため、空売りした銘柄が損切りせずに2倍以上になったら、損失額は-100%以上となります。
現に、【3778】さくらインターネットは2024年1月から3月に掛けては約5倍になっていました。
急騰銘柄の高値圏では、空売りのチャンスも多いものの、ポジションサイズを小さくして、早めの損切りを心掛けるなど、リスク管理は必須です。
空売りナンピンは絶対にNG!
損失が出たポジションについて、損切りせずに、ポジションをさらに増やす“ナンピン”は、個人投資家がマーケットから退場する理由トップです。
特に、空売りでナンピンをしてしまうと、買いよりもさらにリスクが大きくなってしまいます。
買いの場合は、暴落したとしても、短期間に株価が半分になるようなことは、ほとんどありません。
一方、空売りの場合は、短期間に株価が2倍や3倍になるケースも少なくないため、損失の拡大リスクはより高くなります。
仮に、2024年2月初旬頃に【3778】さくらインターネットを空売りして、踏み上げられた後にナンピンで追加の空売りをしていたら、2月下旬には全資産が融けて退場となっていたことでしょう。
買いにせよ空売りにせよ、ナンピンは、個人投資家が退場となる最たる行為です。
空売りが踏み上げられたら、すぐに損切りをして、ナンピンは絶対にしないようにしてください。
踏み上げ相場に前兆はある?
踏み上げ相場の前兆を完全に予測はできませんが、これまでの傾向から、注意の心構えをしておくことはできます。
新NISA開始のようなイベントがある時期は注意が必要
2024年1月から3月は、新NISAの開始という、日本市場にとっては大きなイベントがありました。
新NISAは、非課税投資枠が従来のNISA・つみたてNISAから大きく拡大し、非課税期間が恒久化するなどインパクトのある投資家優遇策であり、市場にとっても大きな買い要因となりました。
この時期には、多くの銘柄が買われ、新NISA相場に立ち向かって空売りをしていたら、大きく踏み上げられていたことになります。
新NISA開始のような大イベントは、ほとんどないことではありますが、このようなインパクトのある投資家優遇政策が国家政策で行われた場合には、下手に空売りで立ち向かわないようにしておきましょう。
アベノミクスなど政治環境が変わった場合にも注意
2010年以降で、最も市場環境や政治環境が変わった出来事と言えるのが、2012年12月から2013年4月に掛けての「アベノミクス」です。

2008年リーマンショック、2011年東日本大震災、民主党政権下の超円高などで、日経平均株価は1万円以下で低迷していました。
2012年12月に第二次安倍政権が誕生して「アベノミクス」が始まり、2013年4月から日銀による異次元金融緩和が開始されたことで、市場の潮目は完全に変わりました。
民主党政権時代には空売りが有効だった場面でも、アベノミクス以降は空売りで踏み上げられる場面が増えるなど、市場環境が大きく変化しました。
民主党政権時代に空売りで成功していたトレーダーが、アベノミクスによる市場環境の変化で退場していった例も少なくありません。
大暴落後には反発に注意しよう
2020年3月コロナショック後の新型コロナ相場や、2024年8月暴落後の反発など、大暴落後の反発は踏み上げ相場となりやすいため注意が必要です。
暴落相場では、すでに大きく売られている銘柄を空売りする「順張りの空売り」が有効ですが、反発ターンになると全く通用しなくなります。
なお、暴落後の反発は、空売りのメカニズムからも説明可能です。
空売りをしていたトレーダーは、暴落相場で大きな利益となります。その利益を利食いするために、空売り決済のショートカバーが入って、暴落後の大きな反発を加速します。
上昇相場で空売りの損切り(ショートカバー)による踏み上げ相場が到来するのと同じ理由で、暴落後には空売りの利食いによるショートカバーで反発も大きくなります。
暴落相場は空売り勢にとっては最高の展開ですが、その後に訪れる反発フェーズでは踏み上げ相場となるため、暴落相場の後半に空売りを仕掛ける場合には注意が必要です。
踏み上げ相場に巻き込まれた場合の対策:損切りするしかない
空売りをして、踏み上げ相場に巻き込まれた場合の対策は、早めに損切りするしかありません。
空売りで失敗した場合の対策は、一にも二にも早めの損切りのみです。
まとめ
この記事では、踏み上げ相場や踏み上げ相場の前兆について解説してきました。
2024年は、新NISAのご祝儀相場ともなった2024年1月から3月に掛けて、米国市場軟調や日銀利上げによる暴落からの反発となった2014年8月に、踏み上げ相場となりました。
空売りは、大きく上げている急騰銘柄を空売りする「逆張りの空売り」、大きく下げている暴落銘柄を空売りする「順張りの空売り」の2つに分かれます。
急騰銘柄を逆張りで空売りする場合には、どこまで踏み上げられてもおかしくないため、早めの損切りや資金管理が必須です。
暴落銘柄を順張りしての空売りでは、その後の反発フェーズに注意が必要です。暴落終盤で空売りした場合には、早めの退出が必要となります。
空売りをしていて、踏み上げ相場に巻き込まれた場合には、早めの損切りを徹底するしかありません。
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